春狂言2005 東京公演~茂山一門

東京・国立能楽堂に、茂山家の狂言「春狂言」を観てきました。実は「春狂言」を観るのは昨年に続いて2回目となります。


[国立能楽堂の舞台]

今日の公演は「茶と狂言」と題されています。狂言の中に出てくるお茶の話は多いそうで、そのお茶にまつわる演目が3つ用意されました。

  • 大蔵流狂言「通円(つうえん)」
    • 旅僧 茂山あきら
    • 宇治の里人 佐々木千吉
    • 通円の霊 茂山千之丞
    • 笛 一増幸弘
    • 小鼓 古賀裕己
    • 大鼓 柿原光博
    • 後見 綱谷正美
      地謡 茂山千三郎
      地謡 丸石やすし
      地謡 茂山宗彦
      地謡 茂山童司

    東国の僧が都見物を済ませて奈良へ向かう途中、宇治橋のたもとに茶屋を見つけます。そこに茶湯と花が供えてあるのを不思議に思い、僧が、あたりの者に尋ねると、ここは通円という茶屋坊主が、宇治橋供養の時に茶を点てすぎて死んだ跡で、今日がその命日であると聞かされます。僧が弔うと、通円の霊が現れ、自分の最後の有様を語り、回向を頼んで消え失せます。

  • 大蔵流狂言「清水(しみず)」
    • 主人 茂山千作
    • 太郎冠者 茂山宗彦
    • 後見 佐々木千吉

    主人から、茶の湯に使う良質の水を遠く野中の清水まで汲みに行くよう命じられた太郎冠者は、お茶会の度に行かされてはたまらないので、一計を案じ、主人から渡された秘蔵の手桶を投げ出し、鬼に襲われたふりをして帰ってきます。主人は驚きますが、手桶惜しさに自ら清水に行くと言い出し…。

  • 大蔵流狂言「茶壺(ちゃつぼ)」
    • 中国方の男 茂山千三郎
    • すっぱ 茂山あきら
    • 目代 綱谷正美
    • 後見 茂山童司

    茶壺を背負った男が酒に酔って道で寝込んでいます。そこへ通りかかったすっぱ(詐欺師)は、その茶壺を自分のものにしようと、背負い紐に片腕を通して男と背中合わせに寝ます。やがて男が目を覚まして茶壺の取り合いとなり、目代(代官)が裁きに入りますが…。

今回、とにかく見たかったのは茂山千作さんです。昨年は見られませんでした。今回も先日の昼の部、夜の部では出られなかった模様。最終公演である今日の2演目めに登場です。嬉しい。来た甲斐がありました。


[人間国宝・茂山千作 (四世千作)]

もう圧倒的です。存在感が凄いのです。声の張り、トーンの変化も素晴らしいですし、共演者との間合いの取り方、会場の空気のつかみ方など、どれを取っても唸ります。人間国宝は名だけではないですね。

既にご高齢の千作さんですが、その年齢を感じさせない健在ぶり、堪能させていただきました。いつまでも現役で活躍していてください。また観に来ます。

p.s.
解説を担当した茂山千三郎さんの話がとても楽しかったです。茂山家の3時のお茶、興味津々です。